この年の6月に行った『安全地帯 10th ANNIVERSARY CONCERT TOUR ACOUSTIC SPECIAL NIGHT』を最後に、実質的に活動休止状態に。玉置がソロアルバムの制作に入る。約一年ぶりとなるこの作品は、「月桂冠『花鳥風月』」のCMソング。俳優・真田広之が雨上がりの、紅葉が美しい街を歩くシンプルな画のCMだが、それをより美しく、印象的なものに仕上げているのがこの曲だ。和テイストのイントロからゆったりとリズムが刻まれ、ストリングスがメロディに寄り添い、哀愁漂う玉置の声が、言葉ひとつにひとつに想いを込めて歌う、かくも美しいバラード。
再集結し、3月からレコーディングをスタートさせ、活動再開を告げる約2年半ぶり、7枚目のオリジナルアルバム『安全地帯VII〜夢の都』を7月に発売し。そこからのシングルカット。「I Love Youからはじめよう」を彷彿させる、エネルギッシュなシンプルロックだが、「I Love~」が、人の背中を押し、気持ちを鼓舞する曲であるならば、「情熱」は自分を叱咤激励している。アルバムに収録されている「この道は何処へ」は、札幌ユニバーシアード冬季大会テーマ曲に起用された。
発売日前日に『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)に出演し、「より良い音楽をやるために、ちょっと時間を下さい」とバンド活動の休止を公表した。最後のアナログ盤シングルに。メンバーはその後約2年間ソロ活動を行う。松井の書く詞はシンプルがゆえに、聴き手の想像力を掻き立てる。恋人同士のすれ違い描き、思い出を振り切って進むことを決意。彼女を微笑みで送り出す――という内容が、活動休止前の作品というタイミングもあり、ファンの間で様々な憶測や意見、感想が飛び交った12月に初のベストアルバム『I Love Youからはじめよう -安全地帯BEST-』を発売した。
前作から約9か月ぶりの作品は、同名の学園ホラー映画の主題歌で、玉置は映画初出演&主演。ちなみに同時上映はチェッカーズの『Song for U.S.A』だった。ハードなサウンドに琴線に触れるメロディ、松井五郎によるシンプルな言葉が並ぶサビ、このバンドの真骨頂ともいえる構成。シンプルな言葉を情熱的なものとして聴き手に届けるのが、玉置の激しくも繊細なボーカルである事を再認識させられる一曲。この年の8月20、21日に、神宮球場では初のコンサートとなる伝説の『スターダスト・ランデヴー井上陽水・安全地帯LIVE AT 神宮』を行った。
ハンドクラップが軽快なリズムを取る、アップテンポなナンバーだが、シンプルなアレンジと、情熱的で妖艶な歌詞とメロディ、色気のある歌とが、ハッキリとしたコントラストを作り出し、一度聴くと忘れられないインパクトがある曲になっている。オリジナルアルバムには収録されず、ベストアルバム『I Love Youからはじめよう-安全地帯BEST-』(88年)で初めて収録された。カップリングの「一秒一夜」は、ギターの矢萩が作曲、リードボーカルもとっている。玉置以外がリードボーカルをとる曲はこの曲のみ。